ホウエン地方の中盤にあたるこの区間では、自然界の生き物をそのまま取り込んだ直感的な名前から、古代生物や妖怪をモチーフにした重厚な命名まで幅広く登場します。
さらにユーモラスな駄洒落系のネーミングもあり、プレイヤーをクスッとさせる仕掛けも豊富です。
日本語の名前は「姿をそのまま表現する」ものが多い一方で、英語名は「性質や役割を説明的に示す」傾向が強く、文化的な違いがくっきり見えてきます。
今回は0333のチルットから0360のソーナノまでを一体ずつ掘り下げます。
0333 チルット

「チルチル(小鳥のさえずり)」+「cotton(綿)」から作られた名前で、ふわふわの羽毛を直感的に伝えています。
見た目のかわいらしさをそのまま音にしたため、子どもにも覚えやすい軽快な響きになっています。
進化後のチルタリスになると、名前の音が伸びて優雅さを増し、ドラゴンタイプらしい神秘性を帯びていきます。音の変化がそのまま成長を表す好例です。
英語名「Swablu」は「swab(綿棒)」+「blue」。医療用の綿棒を連想させるあたりが英語圏らしい発想で、日英で大きく印象が変わる面白い存在です。
0334 チルタリス
チルットの進化形で、名前は「チルット」+「アリス(竜を思わせる響き)」から。
竜に昇華した小鳥を表現しており、ファンタジー的な響きが強調されています。
日本語では優雅で柔らかいイメージを重視していますが、英語名「Altaria」は「altus(高い)」+「aria(歌)」から。高らかに歌う天翔ける竜を表現しており、音楽性や芸術性を加えている点が特徴です。
進化前後で「小さな綿毛の鳥」が「歌う竜」へと大きく化ける過程を、名前で補強しています。
0335 ザングース
「zan=斬」+「mongoose(マングース)」の組み合わせで、名前からして鋭い斬撃とマングースの獰猛さを強調しています。
見た瞬間に「戦う動物」であることが伝わる直球のネーミングです。
進化はしないものの、対になる存在ハブネークとの因縁が設定に組み込まれており、名前の鋭さはそのライバル関係を示す役割を果たしています。
英語名「Zangoose」も同じ発想で、日英でほぼ同一のニュアンスが共有されています。
0336 ハブネーク
「habu(毒蛇のハブ)」+「snake(スネーク)」を合わせた名前。沖縄由来の毒蛇を元にしており、地域性が強く反映された命名です。
ザングースと対で登場するため、「ザン」と「ハブ」で音も対立しており、ライバル関係を音でも演出しています。
英語名「Seviper」は「sever(切断する)」+「viper(毒蛇)」。こちらは「切り裂く毒蛇」というより攻撃的な意味合いを持っています。
0337 ルナトーン
「luna(月)」+「stone(石)」の直球合成で、月そのものを象徴するポケモン。岩石と宇宙の結びつきを名前に込めています。
日本語でも英語でも同じ語源で作られており、世界観を共有させる意図が明確です。シンプルな命名ながら印象に残る響きが特徴です。
進化はしないものの、ソルロックと対になることで命名の完成度が高まっています。
0338 ソルロック
「sol(太陽)」+「rock(岩)」から。ルナトーンと対を成す存在としてデザインされています。
英語名も同じで、太陽と岩を組み合わせた非常にストレートな命名。対比することで両者の存在感が際立ちます。
日英ともに語源が同じため、世界中で統一された印象を与えるポケモンです。
0339 ドジョッチ
「ドジョウ」+「ちっちゃい」で、小さなナマズを子ども向けに表現。かわいらしさを強調した名前です。
英語名「Barboach」は「barbel(ひげ)」+「loach(ドジョウ)」。
学術的なニュアンスが強く、日本語とのギャップが面白いところです。
進化後のナマズンに繋がる過程で、素朴さから大物感へと変化していきます。
0340 ナマズン
「ナマズ」+「殿(どん)」からで、大物感を出す名前。地震を起こすイメージと結びつき、伝承的な役割も持ちます。
英語名「Whiscash」は「whisker(ひげ)」+「catfish(ナマズ)」。
こちらはシンプルに魚の特徴を説明しており、和名のユーモラスさとは方向性が異なります。
進化によって「小魚が一気に大物へ」という印象を与える命名です。
0341 ヘイガニ
「兵(へい=兵隊)」+「カニ」からで、硬い甲羅と戦う姿勢をイメージしています。
日常的なカニに軍事的な響きを加えることで、ただの甲殻類ではなく荒々しい戦闘的存在に昇華しています。
英語名「Corphish」は「corpse(死骸)」の響きと「fish」を合わせており、日本語よりも不気味で荒削りな印象を与えます。水辺のごろつき感が際立つ名づけ方です。
0342 シザリガー
「scissor(ハサミ)」+「ザリガニ」。そのままハサミの強烈さを表現した名前で、進化によって荒っぽさがさらに増します。
英語名「Crawdaunt」は「crawfish(ザリガニ)」+「daunt(威圧する)」。
こちらは「威圧的なザリガニ」という意味合いが強く、和名の擬音的な力強さとは違う迫力を感じさせます。
0343 ヤジロン
「矢印」+「ロン(ドローンの響き)」で、回転する姿を示したユニークな名前です。
実際のデザインは独楽人形を思わせ、日本の伝統的な玩具と結びつきます。
英語名「Baltoy」は「ball」+「toy(玩具)」。日英ともに「回転するおもちゃ」のイメージを中心に据えており、文化を越えて分かりやすい存在になっています。
0344 ネンドール
「粘土」+「ドール(人形)」からで、考古学的な土偶を直接モチーフにしています。
古代文明の神秘を背負わせた名前は、ヤジロンの進化として非常に説得力があります。
英語名「Claydol」は「clay(粘土)」+「idol(偶像)」。
こちらはより宗教的・儀式的なニュアンスを含み、日英で微妙に異なる神秘性を演出しています。
0345 リリーラ
「lily(ユリ)」+「relic(遺物)」から。植物と化石を掛け合わせ、古代の海に咲く奇妙な花を表しています。触手の形状からも異世界感を漂わせます。
英語名「Lileep」も植物と化石の要素を取り込み、古代の生命体としての存在感を強調しています。
0346 ユレイドル
「悠然」「揺れる」+「idol(偶像)」を意識した響き。触手がゆらゆらと動く様子と、古代から残る偶像的存在を重ねています。
英語名「Cradily」は「cradle(揺りかご)」+「lily」。生命を育む要素を込めるあたりが英語らしく、和名の神秘性と対照的です。
0347 アノプス
「アノマロカリス(anomalocaris)」がそのまま語源。実在の古代生物を取り込んだ命名で、ストレートに古代感を伝えています。
英語名「Anorith」も同じ由来で、シンプルながら太古のロマンを感じさせる一体です。
0348 アーマルド
「armor(鎧)」+「armadillo(アルマジロ)」を掛け合わせた名前。硬い殻に守られた甲殻類の進化形を示しています。
英語名「Armaldo」もほぼ同じ発想で、日英ともに重装甲を全面に押し出した存在です。
0349 ヒンバス
「貧」+「バス(魚)」から。みすぼらしい外見をあえて強調し、進化後のギャップを際立たせる役割を担っています。
英語名「Feebas」は「feeble(弱い)」+「bass」。こちらも弱さを前面に出す名づけで、和英ともに方向性が一致しています。
0350 ミロカロス
「美(み)」+「ロカロス(造語)」で、絶世の美女を連想させる神秘的な響き。和名らしい優美さが漂います。
英語名「Milotic」は「melody」+「exotic」からとされ、優雅で異国的な美を感じさせます。日英ともに美の象徴として設計されたポケモンです。
0351 ポワルン
「ぽわぽわ」+「ルンルン」で、天気で姿を変えるユーモラスな存在を軽快に表現しています。名前の音感そのものが楽しさを演出。
英語名「Castform」は「forecast(天気予報)」+「form(形)」。こちらは説明的で理知的な名づけですが、役割を一目で理解できるのが強みです。
0352 カクレオン
「隠れる」+「カメレオン」から。姿を隠す特性を直球で表現しています。子どもでも意味が分かるシンプルさが魅力です。
英語名「Kecleon」も「chameleon」由来で、変化する存在を強調。日英ともに方向性が一致しています。
0353 カゲボウズ
「影」+「坊主」からで、日本のお化けのイメージをそのまま取り込んだ存在。身近で少し怖い雰囲気を持っています。
英語名「Shuppet」は「shadow」+「puppet」。人形的で少し愛嬌のあるニュアンスを与えており、和名の不気味さと好対照です。
0354 ジュペッタ
「呪い」+「パペット」からで、怨念のこもった人形を表現しています。カゲボウズの進化として説得力がある命名です。
英語名「Banette」は「ban(呪う)」+「marionette」。より直接的に「呪いの人形」を示し、文化的背景が一致しています。
0355 ヨマワル
「夜回り」から。夜に徘徊する幽霊を表す名前で、子どもにも分かりやすい恐怖感を持たせています。
英語名「Duskull」は「dusk(夕暮れ)」+「skull(頭蓋骨)」。和名よりも骨を強調し、欧米的ホラーの要素が濃い印象です。
0356 サマヨール
「彷徨う」から。さまよい歩く幽霊の特徴をそのまま表した名前。進化でさらに威圧感が増していきます。
英語名「Dusclops」は「dusk」+「cyclops(単眼の怪物)」。単眼という具体的な要素を足している点が英語的です。
0357 トロピウス
「tropical(熱帯)」+「saurus(恐竜)」から。首元にバナナがぶら下がるユニークな姿をそのまま示しています。
英語名も同じ語源で、熱帯恐竜として分かりやすく設計されています。
0358 チリーン
「チリンチリン(鈴の音)」から。日本的な擬音をそのまま使った名前で、響きのかわいらしさが魅力です。
英語名「Chimecho」は「chime(鐘)」+「echo(反響)」。音の残響を取り込み、和名よりも澄んだ音をイメージさせます。
0359 アブソル
「absolute(絶対)」などを由来とする説が有力。災いを予言する能力を名前で強調しています。
英語名「Absol」も同じで、日英ともに「絶対」「避けられない運命」といった意味を込めた名前です。
0360 ソーナノ
「そうなの?」をもじった駄洒落。シリーズでも屈指のユーモラスな命名で、子どもに親しみやすい存在です。
英語名「Wynaut」は「Why not?(いいじゃないか)」の駄洒落で、日英ともに言葉遊びを共有しています。こうした命名はシリーズの遊び心を象徴しています。
まとめ|多様性と遊び心が詰まった区間

チルットからソーナノまでの28匹は、直感的な擬音、古代モチーフ、ホラー風、そして駄洒落と、幅広い方向性が混在していました。
日英で見比べると、和名はユーモラスで直感的、英語名は説明的かつ具体的なイメージに寄る傾向があり、文化の違いが鮮やかに浮かび上がります。
名前は単なるラベルではなく、デザインや役割を強調し、プレイヤーに「どんな存在か」を直感的に伝える大切な装置だと改めて感じられます。
次回最後は、ユキワラシからデオキシスの区間を取り上げ、さらに重厚で多彩な名前の由来を探っていきます。

